2003年03月09日

音楽文化の創造 第28号 執筆記事掲載

60e331ae.jpg2003年3月
季刊誌「音楽文化の創造」第28号において、執筆記事が掲載されました。

使ってみたいハードとソフト
ニューグローブ世界音楽大事典Web
文・宮下芳明



grove季刊誌「音楽文化の創造」第28号
使ってみたいハードとソフト
ニューグローブ世界音楽大事典Web

みなさんこんにちは。今回は趣向を少し変えて、「使ってみたい」ウェブサイトを紹介します。それはニューグローブ世界音楽大事典Web (http://www.grovemusic.jp/)です。
 ニューグローブ世界音楽大事典といえば、音楽事典の中でも詳細な説明とその歴史の深さ(なんと初版が発行されたのは19世紀末!)から最も定評のあるもののひとつに数えられます。その項目数だけでなく、図や譜例をふんだんに用いているのも特徴です。こうした豊富な知識を、ウェブ上で利用可能にしたのがこのサイトです。特殊なソフトやプラグインを必要とせず、ブラウザがあればそこにURLを入力するだけでいつでもアクセスできます。これは公共のパソコンを使用する場合でも大丈夫ということです。学校などで使う場合も、インストール作業を必要としないので楽ですね。
 さて、サイトの使い方ですが、まず、「ログイン」の画面でユーザー名とパスワードを入力して使用します。ユーザーでなくとも「体験検索」から入れば、本文は表示されませんが検索の醍醐味を味わうことができます。検索モードは、見出し語検索と全文検索があります。中でも全文検索は、電子メディアならではの機能といえるでしょう。複数のキーワードの入力も可能で、全20巻に及ぶ膨大な本文のデータからそのキーワードを含む見出しが瞬時に表示されます。こんな芸当はとうてい人間にはできません。また、外来語にありがちな「読みの揺れ」に対応しています。モーツァルト、モーツアルト、はてはモーッアルトなんて入力しても、ちゃんとMozartに行き着けます。
 これもウェブ辞典のメリットですが、ソ連などの国名はもちろん、「著作権」など法的な項目に関しても最新事情にもとづいた改訂が行われています。「電子音楽」などの項目にも、最新の研究成果が盛り込まれています。
 このオンライン辞典、わからない音楽用語を調べるためだけの利用ではもったいないです。全文検索でキーワードを入力すると、思いもしなかった項目の説明で、その言葉が使用されているのに気づきます。そういった意味で、この辞典はまさにアイデアまで提供してくれるのです。使用料はちょっとお高いですが、その価値は十分あると思います。

文・宮下芳明(http://www.homei.com)

homei_miyashita at 12:03│執筆記事